国津神と天津神考



 (最新見直し2008.4.9日)

 (れんだいこのショートメッセージ)
 ここで、日本神話上の国津神と天津神の解析をしておく。参考文献 「日本神話の御殿」、「真説「国津神と天津神」考」その他

 2010.10.05日 れんだいこ拝


【国津神と天津神考】
 日本神話に登場する神々は、見事なまでに系譜的に天津神(あまつかみ)と国津神(くにつかみ)に分かれている。天津神は、高天原から天降った神の総称、それに対して国津神は天津神が来日してくる以前の日本列島各地に生息していた土着の神々の総称である。日本神話は、この識別に立って天津神系よりする天地創造譚、神々誕生譚、国譲り譚、神武東征の国取り譚、歴代天皇譚を記している。日本神話に興味のない者にはチンプンカンプンかも知れないが、興味を持つ者には常識である。

 問題は、天津神と国津神の識別において、記紀神話、古史古伝各書の記述、論者の分析が錯綜していることにある。その最大の難関が天照大神、スサノオの命、二ギハヤヒの尊を廻って出自を天津神系で捉えたり国津神系で捉えたり複相していることにある。当然、臣下の諸豪族も複相することになる。これでは歴史が解けない。にも拘わらず、渾然一体のまま日本神話が語り継がれている。ここに日本神話が決して史書足りえず神話譚として受け止めざるを得ない秘密がある。とは言いながら、随所で日本古代史を記しており、貴重な史書とせざるを得ない。これを「日本神話ジレンマ」と云うことにする。

 「天津神国津神考」の必要は、「日本神話ジレンマ」を読み解くだけに意義があるのではない。もう一つ、天津神系よりする記紀神話に依拠して日本古代史を読み取るのではなく、天津神渡来以前の国津神系の統治していた日本古代社会を読み取る為にも必要となっている。この社会を解析せねばならない理由として、天津神渡来によって国津神系が駆逐滅亡されたのではなく、或る時点より両者が「和をもって尊し」とする和睦路線に道を開き、婚姻政策等も含め両者融合の日本史を切り開き、この伝統がはるけき今日まで継承されており、決して祖略に扱うべきではないからである。なお且つ、日本の政治権力史は天津神系が掌握して来たものの、その裏面史は常に国津神系が支えてきたと思われるからである。

 ごく最近の史学の動きとして、邪馬台国が天津系渡来以前の国津系の最期の王朝であった可能性が見えてきつつある。これによると、邪馬台国は出雲―河内―大三輪系譜の部族連合国家であったことになる。この政体は遺跡と共に史上から抹殺され、今日では僅か二千余文字の魏志倭人伝でしか知ることができないが、「実在した滅ぼされた王朝」であった可能性が強い。従来の邪馬台国論争は、邪馬台国をプレ大和王朝と位置づけ、且つ政権的に陸続的に理解した上で所在地論争に耽ってきた。これは虚妄だったと云うことになる。今や、「実在した滅ぼされた王朝」として邪馬台国を位置づけ、その所在地を比定せねばならない。同時に、邪馬台国的部族連合国家政体の脆弱さとシタタカさを同時的に理解せねばならない。

 「国津神と天津神考」にはそういう意義がある。

 2010.10.5日 れんだいこ拝


【大元神】
天之御中主神(あまのみなかのかみ) 造化三神の一柱 宇宙の根源神、高天原の最高司令官
高御産巣日神(たかむすびのかみ) 造化三神の一柱 天神地祗の祖神、生命の本源神
神産巣日神(たかむすびのかみ) 造化三神の一柱 生命力の本源神、出雲の神々の祖神
国之常立神(くにのとこたちのかみ) 神世七代 国土形成の根源神、国土の守護神
伊弉諾尊(いざなぎのみこと) 神世七代 人類の根源神、結婚の神
伊弉冉尊(いざなみのみこと) 神世七代 創造神、万物を生み出す女神

天御柱神・国御柱神
(あめのみはしらのかみ・くにのみはしらのかみ)
伊弉冉尊から生まれた神 風の神
罔象女神(みずはのめのかみ) 伊弉冉尊から生まれた神 水の神、井戸神
稚産霊神(わくむすびのかみ) 伊弉冉尊から生まれた神 五穀の神、養蚕の神
金神大明神(かなやまだいみょうじん) 伊弉冉尊から生まれた三神の総称 鉱山の神、金属の神、鋳物の神
蛭子神(ひるこのかみ) 伊弉諾尊と伊弉冉尊の実子 海の神、福の神、商業神
石土毘古神(いわづちびこのかみ) 伊弉諾尊と伊弉冉尊の実子 土石の神、家宅の守護神
保食神(うけもちのかみ) 伊弉諾尊と伊弉冉尊の実子 五穀の神、養蚕の起源神
大山積神(おおやまづみのかみ) 伊弉諾尊と伊弉冉尊の実子 山の神、海の神、酒造の祖神
迦具土神(かぐづちのかみ) 伊弉諾尊と伊弉冉尊の実子 火の神、鍛冶の神
高霎神・暗霎神
(たかおかみのかみ・くらおかみのかみ)
迦具土神から生まれた神 水の神、雨の神
武御雷神(たけみかづちのかみ) 迦具土神から生まれた神 刀剣神、武神、軍神、雷神
泣沢女神(なきさわめのかみ) 伊弉諾尊の涙から生まれた神 井泉神

天照大神(あまてらすおおみかみ) 三貴神の一柱 太陽神、高天原の主神、日本の総氏神
素戔嗚尊(すさのおのみこと) 三貴神の一柱 荒ぶる神の祖、農業神、疫神
月読神(つきよみのかみ) 三貴神の一柱 農耕神、海の神、占いの神
宗像三女神(みなかたさんじょしん) 天照大神と素戔嗚尊の誓約によって生まれた神 海の神、航海の神
住吉三神(すみよしさんしん) 伊弉諾尊の禊で生まれた神 和歌の神、海の神、航海の神、軍神

【国津神】
 八百万の神々を国津神と天津神に分類して見る。国津神は次の通り。 大綿津見神、大山津見神、菊理媛神、足名椎神、手名椎神、櫛名田比売命、五十猛命、大年神、宇迦之御魂神、大国主神、少名毘古那神、事代主神、大山咋神、建御名方神、八坂刀売神、猿田毘古神、木花之佐久夜毘売、塩椎神、豊玉毘売命、玉依毘売命、建内宿禰、弟橘比売命等々。
菊理姫神 くくりひめのかみ 黄泉平坂に現れる神。白山の神、農耕神
大渦津日神 おおまがつひのかみ 伊弉諾尊が禊ぎをしたときに生まれた神。厄災の神、祓除神
稲田姫神 いなだひめのかみ 素戔嗚尊の妻。稲田の神
神大市姫神 かみおおいちひめのかみ 素戔嗚尊の妻。市場の神、五穀神
一五猛神 いそたけるのかみ 素戔嗚尊と稲田姫神の子 木種の神、木材の祖神
大屋都姫神 おおやつひめのかみ 素戔嗚尊と稲田姫神の子 木種の神、木製品の神
大年神 おおとしのかみ 素戔嗚尊と神大市姫神の子 農業神、穀物神
宇迦之御魂神 うかのみたまのかみ 素戔嗚尊と神大市姫神の子 穀霊神、農耕神、商工業神
大国主神 おおくにぬしのかみ 国津神の元締め国造りの神。農業神、商業神、医療神
金毘羅神 こんぴらのかみ 大国主神の和魂 海の神、航海の神
少彦名神 すくなひこなのかみ 大国主と共に国造りをする神国土経営の神。医薬神、酒神、温泉神
八十神 やそがみ 大国主神の兄達 裏切りの神、詐欺の神
事代主神 ことしろぬしのかみ 大国主神の子 信託神、商業の神、海の神
武御名方神 たけみなかたのかみ 大国主神の子 軍神、狩猟神、農耕神
阿遅鋤高日子根神 あじすたまひこねのかみ 大国主神の子 雷神、農業神
猿田彦神 さるだひこのかみ 天孫降臨時、邇邇芸神の案内役 導きの神、伊勢の地主神
木花咲耶姫神 このはなさくやのひめ 邇邇芸神の妻となる 山の神、火の神、酒造の神
御年神 おとしのかみ 大歳神の子 農業神、穀物神
大山咋神 おおやまくいのかみ 大歳神の子 山の神、天台密教の護法神
天石門別神 あめのいわとわけのかみ 天太玉神の子 山の神、石の神、門の神
熱田大神 あつたのおおかみ 三種の神器の一つ、草薙剣の神霊 剣神、戦神
矢乃波波木神 やのははきのかみ 大歳神の子 箒神、産神、屋敷神
奥津日子神 おきつひこのかみ 大歳神の子達 竈の神、火の神
奥津比売神 おきつひめのかみ 大歳神の子達 竈の神、火の神

【天津神】
 天津神は次の通り。
神様の名前 系譜 神格
思兼神 おもいかねのかみ 高天原の神 知恵の神、文神
天鈿女神 あめのうずめのかみ 高天原の神 芸能の神(演劇・俳優の神、舞楽の神)
天手力男神 あめのたぢからおのかみ 高天原の神 力の神
天太玉神 あめのふとだまのかみ 高天原の神 占いの神、神事・祭具の神
石凝姥神 いしこりどめのかみ 高天原の神 金属加工の神、鍛冶の神
天羽雷命 あめのはづちのみこと 高天原の神 織物の神、機織りの祖神
天児屋根神 あめのこやねのかみ 高天原の神 言霊の神、祝詞の祖神
天忍穂耳神 あめのおしほみみのかみ 天照大神の子 稲穂の神、農業神
天穂日神 あめのほひのかみ 天照大神の子 稲穂の神、農業神
天津彦根神 あまつひこねのかみ 天照大神の子 日の神、海の神、風の神
生島神・足島神 いくしまのかみ・たるしまのかみ 大八島の霊 国土の神、島の神
邇邇芸神() ににぎのかみ 天孫降臨の主人公 農業神、稲穂の神
天目一箇神(あめのまひとつのかみ) 天津彦根神の子。天孫降臨メンバーの一人 山の神、火の神、金工の神、鍛冶の神
栲幡千々姫神(たくはたちぢひめのかみ) 邇邇芸神、天火明神の母 織物の神
山幸彦(やまさちひこ) 邇邇芸神と木花咲耶姫神の子 穀霊神、稲穂の神
天火明神(あめのほあかりのかみ) 邇邇芸神の兄 太陽神、農業神
天香具山神(あめのかぐやまのかみ) 天火明神の子 農業神、倉庫の神
豊玉姫神(とよたまひめのかみ) 山幸彦の妻 水の神、聖母神、福の神
鵜葺草葺不合神(うがやふきあえずのかみ) 山幸彦と豊玉姫神の子。神武天皇の父 農業神
玉依姫神(たまよりひめのかみ) 鵜葺草葺不合神の妻。豊玉姫神の妹 水の神、聖母神
天之御影神(あまのみかげのかみ) 天照大神の孫 鍛冶の神、刀工の神
大宮能売神(おおみやのめのかみ) 天照大神の侍女 市の神、食物神














(私論.私見)