ホツマツタヱ1、アのヒマキ(天の巻)16



 (最新見直し2009.3.7日)

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【ホツマツタヱ1、アのヒマキ(天の巻)16、孕み謹む帯の文】
はらみつつしむ おひあや      孕み謹む 帯の文
ふそゐすす ももゑふそや としさみと     二十五鈴 百枝 二十八穂 年サミト
かしまのみやの ひとりひめ カシマの宮の 一人姫 
をのこなけれは かしまきみ          男の子無ければ カシマ君  
かとりのみやに ゆきいたる         カトリの宮に 行き到る   
ふつぬしむかえ とことおゑ       フツヌシ迎え 門言終え  
いりますのちに ものかたり         入ります後に 物語 
しろすことくに ひめあり            「知ろす如くに 一姫あり  
つきこなけれは かすかとの     嗣子なければ カスガ殿 
あまのこやねは よにひいて         アマノコヤネは 余に秀いて  
かすかのかみと おたまふ       カスガの神と 名を賜ふ
 われねかわくは          我 願わくは
かんつきみ はしかけなして    上つ君       橋架け なして
たまわんや ふつぬしこたえ    給わんや」     フツヌシ 応え
わかおゐの わかひこさきに    「我が甥の     ワカヒコ 先に
をしかにて さかむかひして    御使にて      酒迎して
あひそめて それよりいまに    会ひ初めて     それより今に
むつましく いまそのきみの    睦じく       今 その君の
となさは われももふける    子となさば     我も儲ける
このことく なかおなさんと    子の如く      中をなさん」と
ひたかみえ しかにこたえて    ヒタカミへ     使に応えて
かえりきき ともにのほりて    帰りきき      共に上りて
なかくにの かすかにいたり    中国の       カスガに至り
そのちちの こことむすひに    その父の      ココトムスビ
こひうけて たかまにのほり    乞ひ受けて     タカマに上り
もろともに これうかかえは    諸共に       これ 伺えば
みことのり ゆるしうけて    御言宣       御許し 受けて
おかむのち ふたきみかえる    拝む後       二君 帰る
もとつくに こことむすひは    元つ国       ココトムスビは
うらなひて よきちなみ    占ひて       吉き日に因み
ととのゑて ことほきおえて    調えて       言祝 終えて
むつましく こやねはあめに    睦じく       コヤネは
つかえます            仕えます
いつしかひめも              いつしか姫も
 はらむよし あめにつくれは    孕む由       天に告ぐれば
みことのり こもりにこれお    御言宣       コモリにこれを
とはしむる ひめきみあひて    訪しむる      ヒメ君 会ひて
みたねうむ みはたおこえは    御種 生む      御機を請えば
こもりたも みめのいろせに    「コモリだも    御姫の愛背に
ならひと ひめはかえして    習ひき」と     姫は返して
いといなや いろせにとはは    「いと異なや    愛背に問わば
あちもまた よそにとわんと    彼方もまた     "他所に問わんと
おもふなり こころまよえは    思ふなり      心 迷えば
をしゑこふ            教え請ふ"」
ここにこもりの              ここにコモリの
みたねふみ あめつちいまた    御種文       「天地未だ
わかさるに ういのひといき    分かざるに     生の一意気
まとかにて みつにあふらの    円(まどか)にて (まるで・恰も)      水に油の
めをわかれ まつのほりて    陰陽 分かれ     陽 まず 上りて
あめとなり のちくたり    天 (空間・気)となり      陰は 後 下り
くにとろの はにみつわけて    地泥の       埴・水 分けて
はにはやま みつはうみなり    埴は山       水は海 成り」
をのうつほ かせとうこきて    「陽の空      風と動きて  
とはける をせのむなもと    火と化ける     背の宗元
ひとまろめ ちかくめくり    日と丸め      天近く回り
をにくはる いものみなもと    男に配る」     「妹の鄙元
つきとこる はにちかきゆえ    月と凝る      地に近き故
めにくはり うつほかせと    女に配り」     「空・風・火と
みつはにの ゐつましわりて    水・埴の       五つ交わりて
ひととなる のちはいもをせ    人となる      後は妹背
とつきうむ にむかひ    婚ぎ生む」     「男は地に向ひ
とつくとき かりのししなみ    婚ぐ時       カリの精波
ほねあふら はあにむかい    髄油」       「女は天に向い
ましわりの かねのにしなき    交りの       適の和霊 熟ぎ
ましわりの よかねのにちか    交りの       好適の和霊が
とわた[ちわた]なす ちちのかりなみ    迸たなす」     「精のカリ波
たましまえ しはするときに    玉島へ       散はする時に
ちなみあひ ひるうえに    霊・波合ひ     昼は "和" 上に
ひたのほり よるはうえに    左上り       夜は "精" 上に
みきくたり あすふためくり    右下り       翌日 二回り
みめくりと みそにはみそ    三回りと      三十日には三十
みそひふみ みかたりゆるむ    三十一・二・三    三日 弛り緩む
たらむとて ははのつつしみ    "タラム" とて    母の謹み」
をのいきす よろみちむやそ    「男の息為     万三千六百八十
めのいきす よろみちもやむ    女の息為      万三千百八六」
みたねて ははにますいき    「御種 得て     母に増す息
みもむその あすはなもふそ    三百六十の     翌日は七百二十
ちやそ みそかよろやも    三日 千八十     三十日 万八百
みそやかに よろみちむやそ    三十八日に     万三千六百八十
もととまし ふよろむちやも    元と増し      二万六千八百
よそむたひ ましととまりて    四十六度      増し止まりて」
みめくりは つきいたれは    「回巡りは     二月 至れば
はしり しわさらにきる    三日 走り      皺更に切る
きさらとて ははのつつしみ    "キサラ" とて    母の謹み」
むそよは むそよめくりに    「六十四日は    六十四 回りに
きわまりて みめくりすへて    極まりて      回巡り総て
ちやそなり ついにたねなる    千八十なり」    「遂に種 なる
おのころの ゑなのへそのを    オノコロの     胞衣臍の緒
かわくるま ややししもり    河車        弥々肉を盛り
めくりへる あすむそみたひ    回り減る」     「翌日 六十三度
つきむそふ おそりめくりて    次六十二      遅り回りて
つきには みそことなれは    三月には      三十九となれば
やすむ みとりはななり    三日 休む      満り 成り
やよいさむ やよもつつしみ    弥 勇む       弥も謹み」
つきには このみうるうも    「四月には     熟み潤うも
つつしみよ ゐつきはもとの    謹みよ」      「五月は元の
ひとめくり いはふよろむち    一回り       祝(ふ/二)万六千
やもよそむ はらおひのゐも    八百四十六     腹帯の妹
つつしみよ あもとにまねく    謹みよ」      「陽元に招く
あらみたま つきのにこたま    荒御魂       月の和魂
たらのほと ましはりて    父母の放と     三つ 交りて
こころいき なりてみつかふ    心・意気       成りて 瑞 通ふ
つゆあふれ             溢れ(羊水の増加)
むつきいたれは              六月 至れば
かわくゆえ ほそのをくたに    乾く故       臍の緒管に
ちしるかふ なつきて    血汁 通ふ」     「七月 血を熟て
いろはに これくらわたと    五色埴       これ臓・腑と 
あふみなす ここもつつしみ    アフミなす     ここも謹み」
やつきにて そみはなりはの    「八月にて     十三端 成果の
はなるとき ははのつつしみ    果なる時      母の謹み
 これなるそ            これなるぞ」
 ははうつほね              「"ハハ" は空音
またたたは はるそらねお    また"タタ" は    春の空延を
あみて いたくたれは    地に編みて     慈くに足れば
たたといふ かかあき    "タタ" と言ふ」  「"カカ" は秋の音
いつくしに かかけあかせる    慈しに       掲げ 上かせる
こころさし ちちはちてとの    心差し」      「父は "チ・テ・ト" の
 をしてなり ちちははあめお    ヲシテなり」    「父母 天を
あみて つらなるみやひ    地に編みて     連なるミヤビ
ててたたよ ちきりしたしむ    "テテ・タタ" よ」   「契り親しむ
ととかかそ            "トト・カカ" ぞ」
つきみめこゑ              「九月 見目・声
そなわりて つきくらい    備わりて      十月 位し
 そふつきは つきみちうまる    十二月は      月 満ち 生まる
みたねこれなり          御種 これなり」
おりしもに ひめなけきは    折しもに      ヒメの嘆きは
をもふ かせともしひ    子を重ふ      風の灯し火
たまこつむ やすきなく    「玉籠 積む(重んじる)       安き日もなく (揺れ動く心)
みつこひ あるおこひ    水を乞ひ      或は酢を乞ひ
むなさわき つらのほせは    胸騒ぎ       面に上せば
ゑたひゑて ひめもすなやみ    手足 冷えて     ひめもす 萎やみ
みけたへ むねいたみや    食 食べず      胸の痛みや
くらみ たまよきは    目の暗み      たまに良き日は
まめひらふ このいたわりも    豆 拾ふ       この労りも
つつしみて よきとしのへと    謹みて       良きと忍べど
いまわか いきすひととき    今 我が身      息為 一時
よそほと たらやまふの    四十枝ほど     足らぬ 病ふの
かなしさや こもりひめの    悲しさや」     コモリはヒメの
いきすて ちはらなてて    息為 診て      幸腹を撫でて
ゑみすかほ いきすたらぬは    笑みす顔      「息為 足らぬは
ひめみこよ これとのきみの    姫子よ」      これ 殿君の
とこかたり われひめみこお    常語り       「我 姫子を
まふけらん たちからわこお    儲けらん      タチカラ分子を
まねかんな わかよろこひの    招かんな      我が喜びの
かとひらき しかもふけの    門開き       其方は儲けの
むねのはな なるをのこは    棟の木」      「実なる男の子は
ひのみたま まつこもりくの    日の霊魂      先ず 籠りくの
みはしらに むかひて    実柱に       向ひ 直に居て
まねき まつめくりて    陰を招き      陽 先ず 回りて
めおつつむ めかせはまりて    陰を包む      陰が狭まりて
はゑいつる はなくきしち    生え出づる     放茎はシヂ
をのはしめ をのこうむなり    陽の初め      男の子 生むなり」
めのこには めのよりうく    「女の子には    女の目より受く
つきみたま みやうるほし    月霊魂       宮を潤し
そむきて のちうくるの    背き居て      後 受くる日の
ましわりは まつめくりて    交わりは      陰 先ず 回りて
おつつむ をはしちなら    陽を包む      陽はシヂ 成らず
たましまか うちつほみて    玉島が       内に窄みて
めのはしめ めのこうむなり    陰の初め      女の子 生むなり」
めはつきの おそくめくれは    「女は月の     遅く回れば
ひひまし みもよそなつつ    日々の増し     三百四十七ずつ
ふそこは よろちむそみの    二十九日は     万千六十三の
みそかには ひともとりて    三十日には     一つ 戻りて
みそひより みそみまても    三十一より     三十三日までも
うち そこもとり    三日の内      日に十九 戻り
みそよかも ひともとりて    三十四日も     一戻りして
さつめへり みそゐかよりそ    五十九 減り」    「三十五日よりぞ
 ひひのまし みもよそななり    日々の増し     三百四十七なり
よそかには もとましともに    四十日には     元・増し 共に
ふよろむち みもなそふにて    二万六千      三百七十二にて
みちきわむ ゑなめくりも    満ち極む      胞衣の回りも
なそらえて やかてうまれん    準えて       やがて生れん」
ををんかみ こそむつきます    「大御神      九十六月 座す
このこやね ももつきませ    このコヤネ     百月 座せり
たちからを みそむつきます    タチカラヲ     三十六月 座す
さるたひこ そむとしおれと    サルタヒコ     十六年 居れど
これまれ をのことしに    これは稀れ」    「男の子は年に
つき いきすよけれは    女は十月      息為 好ければ
うむやすきそ          生むも安きぞ」
またとひ たみこさわに    またの問ひ     「民は子多に
かみとのの こなきいかん    守・殿の       子無きは如何ん」
こもりまた せおりつひめの    コモリ また     「セオリツ姫の
つつしみに たみのなすわさ    謹みに       民の為す業
くたき はたらくとても    身を砕き      働くとても
こころむく あふらさかんに    心 向く       油 盛んに
うるそ くにかみなとは    子を得るぞ」    「国守などは
たみのため こころつくして    民のため      心 尽して
あふらへり こたねまれなり    油 減り       子種 稀れなり」
たかきは しもうらやみ    「高き身は     下が羨み
かなはは おきてうらみ    叶はねば      掟を恨み
きみそしる これあたなり    君 謗る       これも仇なり」
うちみやの あおめいふり    「内宮の      青侍のいぶり  
さます そはことしろ    気を冷ます     傍のコトシロ
まめなれは これさむめか    忠なれば      これを冷む女が
うらむなり きみかめくみも    恨むなり」     「君が恵みも
ついわすれ うらみねたむの    つい忘れ      恨み妬むの
にはさくら さかしれよ    庭桜        咲かずば知れよ
よろたみの うらめめとの    万民の       恨めん侍殿
よろさくら あめうゑてそ    万桜        に植えてぞ
おろかか ねたむいそらの    愚か女が      妬むイソラ
かなつゑに こたねうたれて    金杖に       子種 打たれて
なかれゆく あるかたわと    流れゆく      或は片端と
なすいそら ねたむそのいき    なすイソラ」    「妬む その息   
ひよろみち むれうろこの    一万三千      群れて鱗の
おろちなす たましまひま    オロチなす」    「玉島の隙
うかかひて こつほいりて    窺ひて       子壺に入りて
はらみこお かみくたくゆえ    孕み子を      噛み砕く故
たねなら かたわうむなり    種 成らず      片端 生むなり」
まつしきは およはとみお    「貧しきは     及ばぬ富を
うらやみて うらみあたに    羨みて       恨みの仇に
たねほろふ ひとねためは    種 滅ぶ」      「他人を妬めば
たひ ほのほくらひて    日に三度      炎 食らひて
やする ねたむねたまる    身も痩する」    「妬む 妬まる
みなとかそ たとえはへる    みな咎ぞ      例えば侍る
あおめたち いろはなそ    青侍達       五色の花ぞ
そのきみの こころあおきは    その君の      心 青きは
あおめて なるははなの    青に愛で      黄なるは花の
きおめてし あかきははなの    黄を愛でし     赤きは花の
あかにめて しろきははなの    赤に愛で      白きは花の
しろにめて くろきははなの    白に愛で      黒きは花の
くろめす おなしこころに    黒に愛す      同じ心に
あいもとむ きみのこころと    合い求む」     「君の心と
わかはなと あふやあわぬや    我が花と      合ふや合わぬや
あえしら てれはうらむ    敢え知らず」    「てれば 恨むな
あけらるも よらす    厭けらるも     上も端も寄らず
もとむなり てれはめすとも    求むなり」     「てれば 召すとも
いくたひも おそれのちは    幾度も       畏れて 後は
うらみなし つつしみこれ    恨み 無し      謹みはこれ」
もろひめ まさしるへし    「諸姫ら      真に知るべし
いろはな ひとたひめてて    色の花       一度 愛でて
はやちれは ちりすてられ    早や散れば     塵と捨てられ
よそのはな めすときその    他所の花      召す時はその
はなさかり つらつらおもえ    花盛り」      「つらつら思え
みのはなも ひとうつれは    '満の花も      人も' 移れば(時が移ろえば早晩)
ちるはなそ たれさしうらむ    散る花ぞ      誰 指し恨む
ひともなし もしあやまれは    人も無し」     「もし誤れば
 たねたちて みとかめあれと    種 絶ちて      己咎め あれど
そのひとは またたちもた    その人は(子種を絶たれた被害者は)      まだ 太刀 持たず
つゑうたす ひとうちころす    杖 打たず      他人 打ち殺す
ゆえなし ひとみちに    故も無し」     「女は一途に
おもえとも ねたみわつらふ    思えども      妬み煩ふ
むねか おろちなりて    胸の火が      オロチと成りて
こたねかむ さわりのそかん    子種 噛む      障り 除かん
よつきふみ つつしむあやの    世嗣文」      「謹む綾の
はなとはな うてちるなり    花と花       打てば散るなり
 もろともに つねつつしみ    諸共に       常に謹み
わすれこれ          な忘れそ これ」
はらみこお とひうるための    孕み子を      訪ひ得るための
たひやとり あるひひめかみ    旅宿り       ある日 ヒメ上
またとひ おしえおひは    またの問ひ     「押えの帯
わさありや こもりこたえて    技 ありや」     コモリ 答えて
たまきねの をしゑのおひは    「タマキネの    教えの帯は
みみに しなわきまえて    己々の果に     品 弁えて
くにをさむ おひはわみの    地 治む       帯は五腑の(=五色埴)
かためなり したあわせ    固めなり      男は下合せ (陽は地に向い)
うえそ はらみのおひは    女は上ぞ」(陰は天に向う)     「孕みの帯
かつらきの よつきやしろに    カツラキの     世嗣社
みたねのる ときあめより    御種 祈る      時に天より
いとりの ひとおつれは    斎鳥の      一羽 落つれば
あまつのり これいふきの    天つ宣       これは息吹の
なるもみち はけてかつらき    成る紅葉      化けてカツラキ
いとりやま はねさきみれは    斎鳥山」      「羽先 見れば
ふそよすち かすそなわれと    二十四筋      数 備われど
つねあら もろとりみれは    常 有らず      諸鳥 見れば
そゐさけ ひたかみつる    十五に割け」    「ヒタカミに鶴
たてまつる はねさきみれは    奉る        羽先 見れば
ふそよなり かれもろはねお    二十四なり     故 諸羽を
よりたたし つるおたてに    寄り直し      雄鶴を経に
よこに けふのほそぬの    雌を緯に      経緯の臍布
おりもつて よそやそなわる    織り 以つて     四十八 備わる
みはらおひ ははいさなみ    満腹帯」      「母のイサナミ
なかはらみ こそむつきて    長孕み       九十六月 経て
うみたまふ あまてるかみそ    生み給ふ      アマテル神
はたれまの さはれおひに    ハタレマの     障れど帯に
ととのひて よそやそなわる    整ひて       四十八 備わる
 そのためし            その例」
てれはひめきみ              「てれば 姫君
さはらと いきすひたちと    障らねど      息為 直ちと 
なすおひそ ときみかつち    なす帯ぞ」     時にミカツチ
いふかしく いきすひたちと    訝しく       「息為 直ちと
なるおひの わさにいきすは    なる帯の      技に息為は
いつこえか ときにこもりの    何処へか」     時にコモリの
 こたえには むかしとよけの    答えには      「昔 トヨケ
のたまふは あめよりさつく    宣給ふは      天地より授く
けふのおひ あめにのとりて    経緯の帯      天地に則りて
ちちたけ くらふるおひに    父の丈       比ぶる帯に
ははいき ひたちなるは    母の息       直ちとなるは
 いたくなり あめよりいたき    慈くなり」     「天より慈き
あみて つらなりそたつ    地 (母) に編みて     連なり育つ
ためし ちちのめくみは    子の例       父の恵みは
いたたく ははのいつくし    頂く天       母の慈し<は>
のするはに あまてるかみも    和する埴」     「アマテル神も
わすれと いとふそよすち    忘れと      糸 二十四筋
よりあはせ めをはふたえの    撚り合せ      陰陽羽二重
みはなす このみはめして    御衣となす」    「この御衣 召して
あさことに あめつちまつり    朝毎に       天地 祭り
たらちねに つかふみこころ    父母に       仕ふ御心
そのきみも これもふせは    その君も      これ」と申せば
みかつちも よろこひけふの    ミカツチも     喜び「経緯の
ぬのおらん いわくはふたゑ    布 織らん」     曰く「羽二重
あらさるか こたえひらく    あらざるか」    応えて開く
たからとの うちよりいつる    宝殿         内より出づる
はふたゑは きみのたまもの    羽二重は      君の賜物
ふたあり なすゆえしらす    二機あり      「成す故 知らず(羽二重誕生の訳も知らずに)
あめお きるおそれて    の機を      着るも畏れて
 くち いまさいわいの    朽ちんとす     今 幸いの
をしゑうる ひめこやねの    教え 得る」     「ヒメコヤネ
たけしるや しれひとたけ    丈 知るや」     「知れり 一丈
そ かねきくうえの    二尺五寸ぞ」    「予ね聞く 上の
をんたけと うまれあひたる    御丈と       生れ合ひたる
 めくみと もろのたまえは    御恵み」と     諸 宣給えば
 いめに いとありかたと    「妹が身に     いと有難」と
ゑみすとき ちちよろこひて    笑みす時      父 喜びて
はふたゑお みたけおひと    羽二重を      身丈の帯と
なしたまふ はらおひなせは    成し給ふ      腹帯なせば
いきす ひたちとなりて    身の息為      直ちとなりて
ひめとひ うむときいかん    ヒメの問ひ     「生む時 如何」
こもりまた これかつてか    コモリ また     「これはカツテ
よくしれ われかえるのち    良く知れり     我 帰る後
 くたすへし            下すべし」
あるひみとのに              ある日 御殿に
みあえて こもりおまねき    御饗して      コモリを招き
ものかたり うまれつき    物語り       「我が生れ付き
たけも たけあり    身の丈も      一丈六尺あり
ちからわさ やたひとの    力業         八尺の人等の
よろひきの いわおもなけて    万引きの      岩をも投げて
 うつろいも ひしけたまふ    ウツロイ(鳴神の主)も     挫げば 賜ふ
ふたつるき いまふしみれは    二剣        今 伏し見れば
をきなかみ さかるこもりと    翁守         盛るコモリと
くらふれは われあかこの    比ぶれば      我は赤子の
みちうけて ひとなるかえの    道 受けて      人成る 返えの(一人前となる返礼としての)
いしつつお すすめうやまふ    石槌を       進め 敬ふ」
ときこもり おとろきわれは    時 コモリ      驚き「我は
みちおと こやねをやも    道の弟       コヤネの親も
わかをやと かえものうけ    我が親」と     返物 受けず
みかつちは なおはちすすむ    ミカツチは     なお恥ぢ 進む
こもりて つるきおかみ    コモリ 見て     剣を拝み
いたたけは みかつちえみて    頂けば(高く掲げば)       ミカツチ 笑みて
くらなして まつりたえんお    座なして      「纏り 絶えんを
ひめありて よつきみちきく    姫 ありて      世嗣道 聞く
たから いきすしれは    子は宝       息為も知れば
いきすみや こやねとひめと    イキス宮      コヤネとヒメ
ここおき われはのちに    ここに置き     我は後 宮に
ふつぬしと ひたちおひなし    フツヌシと     直ち帯 成し
さつけんと かたりとことも    授けん」と     語り 門言も
ととのひて こもりはあめに    調ひて       コモリは
かえりけり            帰りけり
のちにかとりの              後にカトリの
みやゆき かたりてともに    に行き      語りて共に
 ひたかみに つくれきみも    ヒタカミに     告ぐれば君も
よろこひて けふのほそぬの    喜びて       経緯の臍布
おらしむる たかまのはらの    織らしむる     タカマの原の
かりみやに おひたまわれは    仮宮に       帯 賜われば
もろも ひたちのみやと    諸が 名も      "直ちの宮" [日立の宮]と
もののへか めてつくれる    モノノベが     愛でて造れる
かしまみや こやねとひめと    カシマ宮      コヤネとヒメと
いきすみや ひめもろの    イキス宮      ヒメは諸女の
はらむとき いきすつつしみ    孕む時       息為・謹み
をしゑます やめるくすり    教えます      病めるは薬
これうく かとりとかしま    これを受く     カトリとカシマ
いすきみや たまふひたちの    イキス宮      賜ふ 直ちの
おひも ゐはたおひとそ    帯の名も      五腑帯とぞ
たけやたは やそよろをのこ    丈 八尺は      八十万 男の子
 なれたけそ はらみうちの    均れ丈ぞ      孕みの内の
あそひには まめひろえよ    遊びには      豆を拾えよ
まめなるそ もしそふお    忠 成るぞ      もしも十二子を
うむははは つきくらいそ    生む母は      月の位ぞ
ひとはらみ みつこおうめは    『一孕み      三つ子を生めば
みひかりの さいわひありと    三光の       幸あり』と
 あめつく あまねくふれて    天地に告ぐ     普く布れて
ほつまくに をさまるのちに    ホツマ国      治まる後に
ふつぬしの かとりみちお    フツヌシの     カトリの道を
ことことく こやねにさつけ    悉く        コヤネに授け
かくれます かしまみちの    隠れます      カシマの道の
おくみな こやねにさつく    奥も皆       コヤネに授く
かすかとの たまかえしなす    カスガ殿      魂返しなす
おくのりも こやねにさつく    奥法も       コヤネに授く
このゆえに よもまつりも    この故に      四方の纏も
おのつから とりつけ    自ずから      一人に着けり
かしまかみ ひめうむときに    カシマ守      ヒメ 生む時に
ははお こえなつけす    母が名を      請えど名付けず
まれひとり ひめはひめなり    「稀 一人      姫はヒメなり
またうまは まきれために    また生まば     紛れんために
いみなん まつひめかみと    斎名せん」     まず姫上と
はかりいふ ゆえにこやねも    ばかり言ふ     故にコヤネも
よよのりと はつはひめきみ    弥々 宣詞      "初は姫君"
つきも たえおくのり    月の名も      妙の奥法
つつしみの ひたちおひこそ    謹みの       直ち帯こそ
いとかしこし          いとも畏こし














(私論.私見)