ホツマツタヱ1、アのヒマキ(天の巻)12



 (最新見直し2009.3.7日)

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【ホツマツタヱ1、アのヒマキ(天の巻)12、アキツ姫、天が児の文】
 天児(あまがつ)・這子(はうこ)の起源
あきつひめ あまかつのあや     アキツ姫 天形の文
さつさつの こゑといもせの ささいはふ   颯颯の 声と妹背の 繁々祝ふ
そのもとおりは あまかつお     その本在は アマガツを
はやあきつめの つくりそめ     ハヤアキツ姫の 作り初め
あまてるみこの  をしほみみ   天照る御子の ヲシホミミ
あまつひつきは たかのかふ     天つ日月は タカの首
たくはたひめの みうちいり     タクハタ姫の 御内入り 
そのさきこしの あまかつお    その先輿の アマガツを 
しほかまのかみ またしら    シホカマの神 まだ知らで
かすかのかみに ゆえおとふ     カスガの守に 謂を問ふ
かすかこたえて これむかし              カスガ 答えて これ昔
あめのますひと そむくゆえ 天のマスヒト 背く故
はたれよもに わきみちて    六ハタレ四方に 湧き満ちて
たみくるしむる そのときに    民苦しむる その時に
あまてるかみの のりおて    天照神の 法を得て
もろかみのうつ はたれなか   諸守の討つ ハタレ中 
かんつはるなか はからんと    上つハルナが 謀らんと 
かんいきよめは ををんかみ    神息算めば 大御神
これしろし  みつのちこ   これ知ろし召し 三つの小児
てくるまのうち たもとした    出車の内 袂下 
おきてたついき ましるゆえ   置きて起つ息 交じる故 
はたれうたかひ かそえせす    ハタレ疑ひ 数えせず
わさもみたれは  ををんかみ   術も乱れば 大御神 
あめつちしろす  くしひるに   天地知ろす 貴日霊に 
さとくはたれか いきはかり     聡くハタレが 息計り
みうたつくれは  そめふたお   御歌作れば 染め札を
さつさもちゐに つけなくる さつさつつうた       サツサ餅飯に 付け投ぐる サツサツツ歌
さすらても はたれもはなけ みつたら   「さすらても ハタレも放来 満つ足らず 
かかんなすかも てたてつき     カカン為すがも 手立尽き
かれのんてんも  あにきか  故ノンテンも あに効かず
ひつきとわれは  あわもてらすさ       日月と我は アワも照らすさ」
さつさつと もろかうたえは  きくはたれ   颯颯と 諸が歌えば 聞くハタレ
わさもみたれて しはらるる    術も乱れて 縛らるる
かれこのうたお さつさつの こゑとたのしむ      故この歌を 颯々の 声と楽しむ
かのちこお あめにおくれは かみのまえ  右の小児を 天に上くれば 神の前
えたそろはは さらんと    枝揃わねば 退らんとす 
あめのみをやは これおほめ     アメノミヲヤは これを褒め
なんちはふこの いさおしは    「汝這ふ子の 功は
もろにすきたり きみまもれ     諸に過ぎたり  君守れ」
かみあまかつと おたまふ   神 "天形"と 名を賜ふ 
このもとおりに  あきつひめ   この本在に アキツ姫
ぬのもてつくる あまかつは    布もて作る 天形は 
かみうたこめて ちちひめに     神歌籠めて チチ姫に 
たまえはこれお さきかけの    賜えばこれを 先駈けの 
さわりおのそく あまかつそ                障りを除く 天形ぞ
もしねたみの  かむときも             もしも妬みの 噛む時も
あまかつはへり まぬかるる    天形侍り 免かるる
もしもうらみの  なやますも   もしも恨みの 悩ますも
あまかつはへり  しりそくる    天形 侍り 斥くる
まかるうらみは  あまかつか   罷る恨みは 天形が
にせめうけて  かはるなり 身に攻め受けて 代るなり
あれおにものお やふるなら     粗・鬼ものを 破るなら
そらはふこにて まねきいれ     空這子にて 招き入れ
しめひきわたし  みそきなせ   〆 引き渡し 禊為せ 
おにかみしはる  うつわもの   鬼神縛る 器物
そらほおことは ひつしはえ    空這子とは 干土生え
わらもてつくる  かんかつは   藁もて作る 神形は
ぬのもてつくり  かみまねく   布もて作り 神招く 
あきつめのうた アキツ姫の歌
あまかつに かみたまわれは  もろはたれ  「天形に 神賜れば 諸ハタレ
さはりなすとも きみかに    障り為すとも 君が身に
ひとたひかはり たちまちに     一度代り 忽ちに
たちはたらきて  きみかをゑ   立ち働きて 君がヲエ(汚穢)
みなまぬかるる  あまかつのかみ   厭免かるる 天形の神」
このうたお みはらにこめて つくるへし        この歌を 実腹に込めて 作るべし
ときにしほかみ   またとはく            時にシホカミ  また問はく
いつれもみきの ことくかや    「何れも右の 如くかや」 
かすかこたえて にあら    カスガ 答えて 然にあらず
たたにつくれは  かれなり     徒に作れば 枯木なり
みたまあれはそ たとふれは    霊魂あればぞ 例ふれば
しほのあちあり  はからは    潮の味あり 計らねば 
あちなしやけと しほなら     味無し焼けど 塩成らず
このあまかつも こころあち いれてなすなり    この天形も 心味 入れて成すなり」
そのときに しほかまはしめ もろほめて    その時に シホカマ始め 諸褒めて
はやあきつめの いさおしお     ハヤアキツ姫の 功を 
よよにのこして  さつさつの  代々に遺して 颯々の
こゑとたのしむ  よめいりの   声と楽しむ 嫁入りの
そのさきのりの  あまかつそこれ     その先乗りの 天形ぞこれ


 タカ(現・多賀城市)の国府(コフ)のツボワカ宮は、アマテル神の世嗣(よつぎ)御子オシホミミと、新しく妃として入内(じゅだい)されるタクハタチチヒメのご成婚を祝い、全国から諸神や諸民が早朝から押し寄せ、祝いの酒(ささ)も皆に振る舞われて、お二人のお出ましを今か今かと待っています。

 神前で厳かに天神地祇(てんじんちぎ)へのご報告も終え、今まさに三三九度のお神酒(みき)も酌み交わされ、全ての儀式もとどこおりなく終わり、君と妃は皆の前にお立ちになられました。
 突然、堰を切ったように沸き起こる万歳万歳(よろとしよろとし)の歓喜の声はやがて、サツサツの神歌(かみうた)と交じり合い、幾重にも押しては返す潮(うしお)のようにうねり続けました。

 今度の妃の入内に先だって、ハヤアキツ姫が初めて天児(あまがつ)を造り、その先輿(さきこし)に乗って、厄除けの先駆けを務めました。
 実はこの天児(あまがつ)について、同席のシホガマの神はまだ何もご存じでなかったので、カスガの神にその理由を尋ねました。

 カスガの神が申されるには、「これは昔、天(あま)の益人(マスヒト、山陰・北陸地方の代官)が国に叛いて乱を起こした時、全国から六種(ムツ)の魔王(ハタレ)の軍団が同時に蜂起して国民を苦しめました。アマテル神はハヤ川の瀬で禊をして、ハタレ破るの法(のり)を得て、諸神はその武器(うつわ)を授かりハタレと戦った時のことです。
 ハタレの中でも特に悪い術にたけているカンツハルナが計らんとして、神の息を数えようと窺うのを、天照神は御幸の前にすでに悟り、これを予期して三才児を招いて輦(てぐるま)に一緒に乗せ、自分の袂(たもと)の下に秘(かく)しておきました。
 君の息に合わせて嬰児の息が立ち昇って撹乱し、ハタレはこの謎が解けずに己の術を疑って、息数を計ることができず、術が乱れてしまいました。
 時に、アマテル神は天下を治(しろ)す奇霊(くしひる)の神智を得て、聡明にハタレの息を計り終えると新たに戦略を練り、御歌を作り染札に書き付けると、サッサ粽(もちい)に付け敵に投げ与えました。

サッサツツ歌
流浪者(さすら)でも  魔王(ハタレ)も鼻息(はなげ)
三つ不足(たら)ず  神明(カカン)なすがも
手段(てだて)つき  故(かれ)、祝詞(ノン)・囃子(デン)も
天(あ)に聞かず  日月(ひつき)と我は  天地(あわ)も照らすさ
 サツサツと諸民がこの神歌(かみうた)を歌い囃(はや)すと、歌を聞いたハタレは、遂に術も乱れて神通力を失い、皆あえなく拿捕されて国に平和が戻りました。
 この由に、サツサツの声を神楽歌にして皆で楽しむようになりました。

 戦い終わって後に、この稚児を宮中に送り届けて、アマテル神の御前にお連れすると、まだ手足もしっかりしない幼さから、神を恐れて逃げようとしました。
 これを見てほほえんだアマテル神は、この児を誉めたたえ、「汝、這児(はうこ)の功(いさおし)は、諸神に勝り過ぎたり。君(オシホミミとタクハタ姫)を守れ」との、お言葉があり、神天児(かみあまがつ)という神名を賜わりました。

 この本縁(もとおり)により、アキツ姫がサッサ神歌(かみうた)に心を込めて、布で天児を造りチチ姫に賜わったのが、先駆けとして穢れや災を除く天児(あまがつ)となりました。
 もしも嫉妬(ねたみ)の咬(か)む時も、天児(あまがつ)が侍(はべ)り免(まぬ)がるる。もしも、呪詛(うらみ)の悩ます時も、天児侍り退くる。罷(まか)る怨みは、天児が 身に責め受けて 身代(かわる)なり。
 又、鬼や化け物を打ち破ろうとする時は、空(そら)這子(はうこ)にて招き入れ、注連(しめ)引き渡して禊をなせよ。これが、鬼神(おにかみ)を縛る神器(うつわもの)であるぞ。
 空這子(そらはうこ)は、秋に刈り取った稲の株から生えるひつじ生えの、柔らかな藁(わら)に布を被せて造るとよい。又、神天児(かんがつ)は、布だけを用いて造るのが習わしです。

アキツ姫の神天児(かんあまがつ)の歌
天児(あまがつ)に  神名(かみ)賜われば  諸魔王(もろハタレ)
障(さわ)りなすとも  君が身に  一旦(ひとたび)身代(かわ)り
たちまちに  立ち働きて  君が汚穢(おえ)全(みな)免るる  天児の神
 この歌を身腹に込めて造るべし。

 時に、シホ神が又質問されて、「いずれも右のごとくかや」と申されると、カスガ神がお答えになって、「さにあらず。唯、漫然と造ったのでは枯木も同然です。御霊を込めねばなりません。たとえば、塩の味のようなもので、計量せず使用すれば、本来の味をも害(そこな)い味を失ってしまうように、たとえ苦労して潮(しお)を吸み焼塩を作ったとて塩の役目を果たさねば塩とはいえません。この天児(あまがつ)も心の味を込めて造るから神の力を得るのです」

 その時、カスガの神の講和に耳を傾けて集まった、シホガマの神を初め諸神が、ハヤアキツ姫の深遠なる神功(いさおし)と、これにまつわるいわれを残したいと、皆が誉めたたえ、そしてサツサツの声を歌にして楽しみました。これこそが、婚姻の儀式の先乗りを勤め、穢れ災いを除く天児(あまがつ)の本縁(もとおり)であるぞよ。












(私論.私見)