| 男と女 生殖器の造られ方考 |
更新日/2023(平成31.5.1栄和改元/栄和5)年.8.1日
| (れんだいこのショートメッセージ) |
| ここで、「男と女 生殖器の造られ方考」をものしておく。 2023年.8.1日 れんだいこ拝 |
2019.10.30日、山科正平「「男と女」 生殖器のビックリ仰天の造られ方 発生学では、男女、どちらが進化形?」。
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| 組織が消え去ってできる"指" |
| はたらけどはたらけど猶わが生活楽にならざり ぢっと手を見る 石川啄木『一握の砂』 石川啄木は生活苦のあまり「ぢっと手を見る」と短歌に残している。「ぢっと」見るまでもなく、手には親指から小指に至る5本の指が並んでいる。個々の形状に多少の違いはあっても、手と足に5本ずつの指があることは脊椎動物に共通する原則的な現象である。それでは、5本の指はどのようにして生まれてきたのだろうか? 赤ちゃんの手指。この世に生まれおちるまでのあいだに、どのような経過を辿って指となったのか photo by gettyimages からだ造りは、受精卵というたった1個の細胞がその発端になる。受精卵が分裂・増殖をはじめてわずか4週ほど経った頃、ヒトのからだは頭部の一番高いところからお尻の一番低いところまでの長さがわずか4mmほどにすぎないものの、立派な胚子にまで成長してきている。その心臓の高さに相当する胸壁の両側に、緩い高まりが左右1個ずつ生まれてくる。それより2日ほど遅れて同様な高まりが将来の骨盤部にも生まれてくる。それぞれ、上肢芽、下肢芽とよばれるが、これが5週から6週にかけてどんどん長く伸びだして、上肢と下肢に向けて発達していく。肢芽の先端、つまり手あるいは足先は平たくなっていて、ちょうど野球のキャッチャーミットのようになっているが、まだ指の姿はないので、手板、足板とよんでいる。ところが7週目になるとからだ中の細胞がどんどん分裂・増殖を続けているにもかかわらず、ミットの4箇所の部分だけでは細胞が突然死んでいく、という奇妙なしくみが作動する。手足のでき方(ブルーバックス『人体誕生』より再構成) その一方で、死なずに残った部分は中に骨やら筋肉などの予備軍を発達させてくるので、手板は5本の指が明瞭なグローブへと形が変わってくる。同じ経過は足でも作動していて、そのお陰で、私たちは手や足の合計20本の指を活用できるというわけだ。 |
| 細胞社会における死亡原因 |
| からだの中には37兆個にも及ぶ膨大な数の細胞があるといわれるが、それは受精卵というたった1個の細胞が分裂に分裂を重ねて増殖した結果、からだという巨大な細胞社会を作り上げたものである。ところがからだの中では細胞が分裂して増殖するという局面だけではなく、どんどん死んでいくという事例も随所に見ることができる。細胞を増やすベクトルと減らすベクトルがうまく協調することによって、整合性のとれたからだ造りが進行しているところがなんとも素晴らしいことだといわねばならない。もし、何らかの原因でからだの一部が高熱にさらされたとする。するとその局所の細胞は死滅するはずだ。事故死にたとえることができるだろう。また細菌の感染を受けても感染源がだす毒素の作用によって、細胞はあえなく死んでいく。これは外敵の攻撃を受けて、細胞膜の透過性に異常がおきて細胞内に大量の水が入り、その結果、破裂してしまうという状況である。 |
| 皆のために犠牲的自死を選ぶ細胞もいる |
| こうした偶発的な死に方とは違って、細胞がウイルスに感染したとか、がん化した場合には、そのまま生き続けていては細胞社会にとって迷惑になると判断して、自ら命を絶つ道を選ぶことがある。いわば細胞社会でリストラの宣告を受けた細胞というわけだ。このときリストラ細胞は、その中に隠し持っていたDNA分解酵素を活性化させて遺伝子のDNAをぶつ切りにして、それによって自殺の道をたどることになる。自らを不都合な分子と認識して、死をもって社会全体の安穏に貢献するというわけだ。他からの攻撃などによる偶発的な死に方をネクローシスというのに対して、自殺による死に方はアポトーシスとよんで、両者のあいだにはまったく異なるメカニズムが作動していることが明らかにされている。 元来、アポトーシスとは大きな樹木の枝に付いていた葉が、秋の深まりとともに枯れて枝を離れ、静かに大地に帰っていく姿を表象した用語である。その中には、決して偶発的ではない自然の輪廻のもとで、枯れ葉の死と樹木の成長とを絡み合わせた自然観が含まれている。「アポトーシス」という言葉には死と成長とを絡み合わせた自然観が含まれている photo by gettyimages 先に紹介したミットからグローブになる過程で、指間の細胞が死んでいくのはまさにはアポトーシスであって、5本の指を発達させるために局所の細胞が犠牲になっている。からだ造りのある段階にまでさしかかると自死機構が作動し、それによって死んでいく現象であるから、細胞の中にはあらかじめ死が「プログラム」されていると考えることができるだろう。 |
| 指間の細胞が死んでいくことで、指が分離する |
| このようなプログラムされた細胞死は脳をはじめとする中枢神経系を作る過程や、免疫細胞を発達させる経過でも大がかりに展開されており、今、私たちが安らかに生活することができるのも、リストラされた細胞たちのたまものだったというわけだ。生き延びて発達した指も酷使に酷使を強いられ、最後はうめき声とともに「ぢっと」見つめられる。そんなケースの反面、少ししわくちゃになってはいても、永い人生を享受させてくれた輝かしい指もあるはずだ。からだ造りのプログラムには何をどう造るかは記録されているとしても、できあがったからだをどのように活用するかまでは書かれてはいない。だから我々は生まれ落ちたその瞬間から、あてどころのない旅路を歩み続けていくことになる。 出生までに起こるからだ造りにはあまたの物語が隠されている! 立体図解した『カラー図解 人体誕生』は、誰しも通る道なのに、理解の難しい出生までのからだ造りをわかりやすく解説します。「小宇宙」とも言われる人体を探訪するためのガイドブック。からだに関心がある方なら、気楽に読み進めることができます。入門書と教科書の性格を併せ持った1冊! |
(私論.私見)